その仕事本当に必要?業務の断捨離から始める賢い引き継ぎのすすめ

目次

はじめに

「引き継ぎ」と聞くと、いま担当している業務をすべて丁寧に書き出し、マニュアル化して、後任へと渡す――そんなイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、それは本当に“賢い引き継ぎ”と言えるでしょうか?

実は、引き継ぎの前にこそ「業務の断捨離(=不要な仕事の整理)」を行うことが、後任者・チーム・組織全体のためにも非常に重要です。この記事では、引き継ぎをよりスムーズに、そして価値あるものにするための「断捨離視点」を解説します。

なぜ引き継ぎに断捨離が必要なのか?

「せっかく丁寧に引き継いだのに、後任がやらなくなった」「手間をかけてマニュアルを作ったのに誰も使っていない」――こんな経験をしたことはありませんか?

多くの引き継ぎが失敗するのは、“本来なくしてもよい業務”まで律儀に引き継いでしまっていることが一因です。

引き継ぎが「無駄の再生産」になってしまう

  • 「誰も使わない報告書」「目的を失ったルーチン作業」などを、そのまま後任に渡してしまう
  • 結果として、不要な作業が組織に残り続け、業務がどんどん肥大化

引き継ぎの本来の目的は「業務の継続」ではなく「価値の継続」であるべきです。そのためにはまず、“本当に残すべき業務”だけを見極めることが重要なのです。

業務の断捨離ステップ

では、どのように業務を断捨離していけばよいのでしょうか?以下のステップで進めてみてください。

ステップ1:すべての業務を棚卸しする

  • 担当しているすべての業務をリストアップ
  • 業務ごとに「目的」「関係者」「頻度」「成果物」を書き出す

ステップ2:「やめても困らない仕事」を洗い出す

  • 1ヶ月間停止しても誰からも問い合わせがない業務
  • 上司や関係者に確認しても「続けなくていいよ」と言われた業務
  • 他の手段で代替可能な業務(例:自動化や共有ツールの活用)

ステップ3:「改善する仕事」「残す仕事」に分ける

  • 残す仕事の中でも、フォーマットや手順を簡略化できるか検討
  • 改善の余地があれば、そのまま引き継がずに形を変えて渡す

この整理を通じて、引き継ぎ対象がグッとスリムになります。

断捨離後にやるべき引き継ぎ準備

断捨離を終えたら、ようやく“本当に価値ある業務”だけが残ります。その上で、以下のような引き継ぎ準備を行いましょう。

ポイント1:マニュアルは簡潔に、必要なものだけ

  • 「全部を書く」より、「残った業務をわかりやすく」
  • 項目は「目的」「手順」「判断基準」「注意点」の4つ程度に絞る

ポイント2:過去の資料やテンプレートを再利用する

  • 新たに作り込まず、既存のメール・チャット・報告書を活用
  • 参考資料を「このフォルダにまとまってます」と伝えるだけでも十分

ポイント3:マニュアル+口頭説明+質問の機会をセットで渡す

  • 文書だけでは伝わらない暗黙知を補う
  • 引き継ぎ後のフォロー期間を設けることで安心感も生まれる

実際の成功事例

事例1:定例報告書を廃止して週3時間削減

とある部署で、毎週作成していた報告書が「誰も読んでいない」ことが判明。上司に相談のうえ、報告書を廃止。引き継ぎ対象からも外したことで、後任者の週3時間が浮いた。

事例2:業務フローの棚卸しでマニュアルが半分に

異動に伴う引き継ぎ時、現任者が業務を可視化したところ、同じような処理が複数あったため整理・統合。結果としてマニュアルのページ数が半分に。引き継ぎにかかる時間も大幅短縮できた。

おわりに

引き継ぎは「今ある仕事をすべて渡す」ことではありません。「未来の人にとって価値のある仕事だけを渡す」ことが、本当の意味での引き継ぎです。

まずは一歩立ち止まって、「この業務、本当に必要か?」と問いかけてみましょう。業務の断捨離から始めることで、後任者への想いやりある、そして組織にとっても意味のある引き継ぎが実現できるはずです。

おわりに

引き継ぎの目的は「業務の持続」ではなく「価値の持続」にあります。ただ仕事をコピーして渡すのではなく、意味のある仕事だけを未来につなぐ視点が求められます。「この仕事、そもそも要る?」と自問することから、効率的で質の高い引き継ぎが始まるのです。

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この記事を書いた人

国立大学の経済学部を卒業後、新卒で商社に入社し人事を担当。
その後、人材企業⇛コンサルティングファームにて一貫して人事に関わる業務をする傍らHikitsugi-assistを運営しています。

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