はじめに
引き継ぎとは単に業務のマニュアルを渡すだけではなく、仕事の「型」を伝え、新しい担当者がそれを自分のものとして習得するプロセスです。この「型を学ぶ」という考え方は、茶道の修行においても極めて重要な概念です。
茶道では、「守・破・離(しゅ・は・り)」という学習プロセスが強調されます。これは、まず形を忠実に守り(守)、そこから工夫を加えて発展させ(破)、最終的には独自のスタイルを確立する(離)という段階を経るものです。この考え方は、業務の引き継ぎにもそのまま応用できます。
本記事では、茶道の哲学から「成功する引き継ぎの本質」を学び、実践的な方法について解説します。
茶道の「守・破・離」と引き継ぎの関係
「守」— まずは形をそのまま受け継ぐ
茶道において、弟子はまず師の所作を忠実に模倣することから始めます。細かい動作、手順、道具の扱い方をそのまま真似ることで、基礎を身につけるのです。
引き継ぎの場面での応用
- 新しい担当者に対し、まずは業務の流れを正確に伝える。
- 「この通りにやれば問題なく進む」という標準プロセスを用意する。
- 最初は「なぜそうするのか?」を考えすぎず、形から学ばせる。
✅ 実践方法
- マニュアルやチェックリストを整備し、具体的な手順を示す。
- OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を活用し、実際の業務を見せながら習得させる。
- 最初は「言われた通りにやる」ことを徹底させる。
「破」— 形式を超えて理解を深める
ある程度の修練を積むと、茶道の弟子は次第に「なぜこの手順があるのか?」を理解し始めます。ただ形をなぞるのではなく、その背景にある意図や流れを意識する段階です。
引き継ぎの場面での応用
- 引き継ぎ後、一定期間が経ったら「なぜこの手順が必要なのか?」を問いかける。
- 過去の経緯や背景を説明し、新しい担当者が業務の意味を理解できるようにする。
- ルールの背後にある意図を考え、自分なりの改善点を見つけさせる。
✅ 実践方法
- 引き継ぎ資料に、業務の背景や「なぜこの手順なのか?」という解説を加える。
- 一定期間後、引き継いだ担当者に業務の目的を説明させる機会を設ける。
- マニュアルの改訂を担当者に任せ、自分の言葉で整理してもらう。
「離」— 自分のスタイルを確立する
最終的に、茶道の弟子は師から学んだ型を超えて、自分なりの解釈や工夫を加えた所作を身につけます。これは、「本質を理解した上での応用」とも言えるでしょう。
引き継ぎの場面での応用
- 新しい担当者が、業務のやり方を自分なりに最適化できる段階まで導く。
- 組織の状況に合わせて、より良いプロセスを設計することを推奨する。
- ただし、基本的な「型」を維持しながら改善することを意識させる。
✅ 実践方法
- 業務改善提案を促し、担当者自身が手順を最適化できるようにする。
- 既存のやり方を踏襲しつつ、新たな効率化の方法を探させる。
- 一定期間後、引き継ぎを受けた担当者に「業務を改善した点」を発表させる。
茶道の心構えから学ぶ「引き継ぎの成功ポイント」
茶道では「一期一会(いちごいちえ)」という言葉が重視されます。これは、「目の前の一瞬を大切にし、丁寧に向き合う」という考え方です。
引き継ぎの場面でも、この精神が重要です。業務を渡す側は、「自分の知識をしっかり伝えることが後任の成長に繋がる」と考え、真剣に向き合う必要があります。
✅ 引き継ぐ側の心得
- ただ形式的に業務を渡すのではなく、「どのようにすれば相手が理解しやすいか?」を考える。
- 1回の説明で終わらせず、繰り返し確認しながら教える。
- 相手の理解度を確認し、質問しやすい環境を作る。
✅ 引き継がれる側の心得
- 「まずは形を真似る」ことから始め、焦らず習得する。
- ある程度慣れたら、業務の背景や意図を考えながら行う。
- 完全に理解した後は、自分なりの工夫を加えながら改善を試みる。
まとめ
茶道の「守・破・離」の教えは、引き継ぎのプロセスにそのまま適用できます。
- 守(まずは形を忠実に学ぶ)
- 破(形式の背景を理解し、自分なりに考える)
- 離(業務を発展させ、最適化する)
この3段階を意識することで、引き継ぎの成功率は飛躍的に向上します。
また、「一期一会」の精神を持ち、一つひとつの業務に丁寧に向き合うことが、スムーズな引き継ぎにつながるのです。
形を真似ることから始める。そこから、本質を理解し、自分のものにする。
この茶道の教えを実践し、より円滑な引き継ぎを実現していきましょう。
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