【組織論で考える】なぜ企業は「引き継ぎの文化」を作れないのか?

はじめに

企業における引き継ぎは、業務の継続性を確保するために不可欠なプロセスです。しかし、多くの組織では十分な引き継ぎ文化が根付いておらず、「属人化した業務」「不十分なドキュメント」「引き継ぎに対する消極的な姿勢」などの課題が頻発しています。

なぜ企業は引き継ぎの文化を作ることができないのか?本記事では、組織論の視点からその原因を分析し、企業が引き継ぎ文化を定着させるための方法を考察します。


企業が「引き継ぎの文化」を作れない理由

属人化を助長する組織構造

多くの企業では、業務が特定の個人に依存する形で進められがちです。特に、日本企業においては「個人の経験やノウハウが価値」とされることが多く、業務の標準化が後回しにされる傾向があります。

問題点

  • 「この仕事は○○さんしかできない」という状態が発生しやすい
  • 標準化されていない業務は、新しい担当者にとって負担が大きい

解決策

  • 各業務のマニュアル化を推進し、「個人の知識」を「組織の知識」に変換する
  • 定期的にジョブローテーションを実施し、業務の属人化を防ぐ

引き継ぎが評価されない企業文化

企業の評価制度は、通常「新規プロジェクトの成功」「売上・利益の向上」といった成果に重きを置く傾向があります。そのため、引き継ぎのような「誰かに仕事を渡すプロセス」は評価の対象にならず、モチベーションが生まれにくいのです。

問題点

  • 「引き継ぎを頑張っても評価されない」という意識が広がる
  • 業務を手放したくないという心理が働き、円滑な引き継ぎが行われにくい

解決策

  • 「適切な引き継ぎを行った社員を評価する」仕組みを導入する
  • 引き継ぎの質をチェックする仕組み(後任の満足度調査など)を取り入れる

形式的なドキュメント化が多い

「引き継ぎ資料を作成する」というルールがあっても、それが形骸化しているケースは多くあります。例えば、作業手順を簡単に箇条書きしただけの資料では、後任が業務を理解するのは難しいでしょう。

問題点

  • 形式的なチェックリストでは、実務の流れや判断基準が伝わらない
  • 過去の担当者が不在になると、引き継ぎ資料だけでは対応できないケースが発生する

解決策

  • 「業務の背景」「注意点」「トラブル時の対応」などを含めた詳細な引き継ぎ資料を作成する
  • 動画マニュアルや業務フロー図など、視覚的に理解しやすい形式を取り入れる

組織に引き継ぎの文化を根付かせる方法

「ナレッジ共有」の仕組みを整備する

企業が引き継ぎ文化を作るためには、「業務の知識を組織全体で共有する」仕組みが不可欠です。

実践方法

  • 社内Wikiやナレッジベースを活用し、業務の情報を蓄積する
  • チームミーティングで「業務の引き継ぎに関する知見」を共有する

「引き継ぎ研修」を実施する

多くの企業では、業務遂行に関する研修は行われますが、「引き継ぎのやり方」に関する研修は実施されていません。

実践方法

  • 引き継ぎに関するベストプラクティスをまとめ、研修で伝える
  • 新入社員だけでなく、全社員が定期的に引き継ぎのノウハウを学べる仕組みを作る

「OJT(On the Job Training)」を活用する

文書やマニュアルだけでは、実務の引き継ぎは不十分です。実際の業務を体験しながら引き継ぐ「OJT」を活用することで、よりスムーズな引き継ぎが可能になります。

実践方法

  • 1〜2週間の引き継ぎ期間を設け、旧担当者と一緒に業務を行う
  • 新担当者が業務を実施し、旧担当者がフィードバックを与える形でOJTを進める

まとめ

企業が「引き継ぎの文化」を作れない主な理由は、以下の点にあります。

属人化を助長する組織構造

  • 業務が個人に依存しやすく、標準化が進まない

引き継ぎが評価されない企業文化

  • 引き継ぎに対するインセンティブがなく、積極的に行われにくい

形式的なドキュメント化が多い

  • 実務に即した引き継ぎ資料が作成されていない

しかし、適切な施策を講じることで、引き継ぎ文化を企業に根付かせることは可能です。

「ナレッジ共有の仕組み」を構築する

「引き継ぎ研修」を実施し、組織全体の意識を高める

「OJT」を活用し、実務ベースで引き継ぎを行う

企業にとって、引き継ぎ文化を醸成することは「業務の継続性」「組織の成長」「社員の働きやすさ」を向上させる大きなメリットにつながります。単なる「業務の移行」ではなく、「知識と経験を未来へつなぐプロセス」として、引き継ぎを戦略的に捉えていくことが重要です。

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この記事を書いた人

国立大学の経済学部を卒業後、新卒で商社に入社し人事を担当。
その後、人材企業⇛コンサルティングファームにて一貫して人事に関わる業務をする傍らHikitsugi-assistを運営しています。