目次
はじめに
育休・産休に関わる引き継ぎは、育休に入る「前」だけで完了するものではありません。むしろ重要なのは、復帰した「後」、特に半年間の支援体制です。
社員が安心して戻り、再び組織で活躍できる状態に導くには、人事が“引き継ぎ+復帰支援”までを一体として設計・伴走する視点が不可欠です。
この記事では、復帰の「その後」を見据えた人事の伴走設計の考え方と具体的なフローを紹介します。
なぜ「復帰後半年」が重要なのか?
- 生活環境が大きく変わり、働き方の調整に試行錯誤が必要
- 子どもの急な体調不良や保育園対応で予定通り働けないことも多い
- 自分の役割や評価への不安、疎外感を感じやすい時期でもある
この時期に十分なサポートがなければ、「気まずくなって辞める」「やっぱり時短では無理だと感じてしまう」といった離脱のリスクが高まります。
人事が設計すべき「引き継ぎ+復帰後伴走フロー」
ステップ1:引き継ぎ開始前にチームで業務棚卸し
- 業務の洗い出し、優先度づけ、W担当体制の設計
- チェックリストやテンプレートで属人化を防ぐ
ステップ2:育休前の面談で「戻る前提」を共有
- 復帰後の希望業務、不安なこと、制度の確認
- チームにも「預ける設計」であることを周知
ステップ3:復帰2か月前から“逆引き継ぎ”準備
- 復帰予定者向けに、今の業務状況・変更点・関係者リストなどを整理
- チーム側も「戻ってきたらどこを任せるか」を事前にすり合わせる
ステップ4:復帰後1か月以内にフォロー面談
- 「今の働きやすさ」「キャッチアップの進捗」「チームとの関係性」などをヒアリング
- 無理に抱え込みすぎていないかを確認
ステップ5:3か月後・6か月後のリフレクション面談
- 継続的な対話の中で、成果だけでなく「継続できていること」をきちんと評価
- チームへのフィードバック・改善にもつなげる
人事が用意しておくべきツールと仕組み
- 引き継ぎチェックリスト(業務・関係者・資料・緊急時対応)
- 復帰者向けウェルカムガイド(制度・現在のチーム体制・主なプロジェクト)
- 面談記録テンプレート(1か月・3か月・6か月用)
- Slack/Teamsに「育休復帰サポート」チャンネルを設けても効果的
伴走の成果をチームにも共有する
伴走設計は本人だけでなく、チームとの関係性も構築する施策です。
- マネージャーと人事で面談内容を共有し、チームで支援体制を可視化
- チームからの声や改善案も人事側で吸い上げて、双方向のフィードバックに
- 復帰支援の成功事例を社内で展開すれば、制度や文化への信頼にもつながります
まとめ
育休・産休は一時的な離脱ではなく、長期的なキャリアの一部です。人事として、引き継ぎ準備だけで終わらせず、「復帰後半年をどう支えるか?」という視点での伴走設計が、離職防止とエンゲージメント向上の鍵を握ります。
一人ひとりの復帰がうまくいけば、組織にとっても確実な資産となります。明日から始められる「復帰後まで見据えた支援設計」、まずは一人からでも伴走してみませんか?
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