目次
はじめに
育休・産休を取得した社員がスムーズに職場に戻れるかどうか。その成否は、実は「育休に入る前の引き継ぎ設計」に大きく左右されます。
多くの企業では、「休みに入るから業務を渡す」という最低限の対応は取られていても、「どうすれば戻りやすくなるか?」という視点までは十分に考慮されていないことが少なくありません。
この記事では、「戻ってきやすい職場」を実現するために必要な引き継ぎ設計のポイントを、人事・マネジメント層向けに解説します。
育休復帰がうまくいくかは「出る前の引き継ぎ」にかかっている
復帰後にありがちなトラブルには、次のようなものがあります:
- 担当業務が完全に別の人のものになっており、復帰後の役割が曖昧
- 業務状況がブラックボックス化し、どこから手をつけていいかわからない
- 「またゼロから」学び直すような感覚になり、自信を喪失
こうしたトラブルの多くは、復帰を前提とした引き継ぎ設計がされていないことが原因です。業務を単に「手放す」のではなく、「一時的にバトンを預ける」設計が重要です。
戻ってきやすさを高める引き継ぎ設計の4つの視点
1. 業務の継続性を見据えた“チーム内シェア設計”
- 特定の後任者に一括して渡すのではなく、業務をチームで分担できる体制にする
- 「W担当制(メイン+サブ)」「週次報告の習慣化」など、業務が常に誰かに見られている状態をつくる
2. 復帰時に“戻る場所”を確保する業務配置
- 育休中の代替担当がそのまま業務を継続し、新たな役割が与えられることで、復帰者の居場所がなくなるケースも
- 業務移管は「引き継ぐ」ではなく「預ける」設計に。戻った後に再調整できる余白を持たせる
3. 情報資産の共有・ログ化
- SlackやNotionでの履歴を残すことで、復帰者が状況を後追いできるようにする
- 定例議事録や、業務進捗の可視化なども効果的
- ドキュメントに「復帰者向けの一言メモ」などが添えられるとベター
4. 引き継ぎ資料の“未来視点”での作成
- 後任者に向けた内容だけでなく、「○○月復帰予定の本人へ向けたメモ」として設計
- 例:「この業務は現在××さんが担当していますが、復帰後に再調整予定です」「顧客A社は今こういう動きがあります」など
人事・マネジメントが担うべき設計サポート
- 復帰時期を見据えたタスク移管と、戻るタイミングでの再配置計画をチームに促す
- 引き継ぎ資料のフォーマットに「復帰を見越した情報欄」を設ける
- 復帰面談の場で「どの業務に戻りたいか」「戻る不安はあるか」などを確認し、設計に反映
まとめ
育休からスムーズに戻れるかどうかは、育休に「入るとき」の引き継ぎ設計で決まります。業務を単に手放すのではなく、“戻ってくる前提で”どう設計しておくか。
それは人事・マネジメント・チーム全体の意識改革でもあり、仕組みの工夫でもあります。社員が「また戻ってこれてよかった」と思えるような職場の土台は、出発時の引き継ぎから始まっているのです。
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