目次
はじめに
育休・産休は個人のライフイベントとして尊重されるべきものであり、職場全体で支える仕組みが重要です。しかし現実には、引き継ぎの不備や情報の抜け漏れによって、復帰者・チームの双方に負担が生じるケースも少なくありません。
この記事では、育休・産休における「よくある引き継ぎトラブル」を具体的に紹介し、その防止策・対処法を人事・チームリーダー視点で解説します。
よくある引き継ぎトラブルとその背景
トラブル1:情報の共有が口頭ベースで属人化
- 「この件は◯◯さんから聞いています」「前任者に確認してください」と言われがち
- 業務の背景や例外対応のノウハウが継承されず、判断に迷う
背景: ドキュメント化されていない業務が多く、個人の経験に依存している状態。ナレッジの暗黙知化。
対策:
- 業務マニュアルやFAQを作成し、更新できる状態で共有(例:Notion、Google Drive)
- メールやチャットの履歴を整理し、プロジェクトごとに「参考スレッド集」を残す
トラブル2:後任者に一括で業務を押し付けてしまう
- 復帰後に「全部変わっていて自分の居場所がない」と感じるケースも
- 後任者もキャパオーバーとなり、結局うまく回らない
背景: 引き継ぎ設計が「誰に渡すか」に集中し、チーム全体での業務再設計がされていない
対策:
- W担当制や業務分散の方針を取り入れる(業務ごとにメインとサブを設定)
- チーム全体で引き継ぎ進行を可視化するミーティングやタスク表を整備
トラブル3:復帰後の業務が不明瞭でモチベーション低下
- 「とりあえずこれをやっててください」と雑務ばかり振られる
- 元の業務に戻れるのか、今後のキャリアが不透明
背景: 復帰後の再配置・業務設計がされておらず、フォローアップ体制もない
対策:
- 育休前面談で復帰後の希望を確認し、業務の「預かり前提」で調整
- 復帰後1か月以内のフォロー面談で再配置や希望のすり合わせを行う
トラブル4:緊急時の対応先が不明で現場が混乱
- 顧客や社内からの問い合わせに対応できない
- 関係者や外注先との連携フローが引き継がれていない
背景: 「もしものとき」の視点が欠けており、例外パターンの引き継ぎが漏れている
対策:
- 緊急連絡先一覧/外部連携マップを作成
- 「この場合は誰に聞くか」を一覧化し、代替手順も添える
引き継ぎトラブルを防ぐために人事ができること
- 引き継ぎチェックリストを標準化し、チーム内で活用を促進
- 引き継ぎ開始時・完了時の2回、マネージャーと人事がチェックを入れる
- 育休・産休に関する社内マニュアルを整備し、「戻ってこれる設計」にも重点を置く
まとめ
引き継ぎのトラブルは、ちょっとした準備不足や設計ミスによって起こりますが、あらかじめパターンを知っておくことで多くは回避できます。
育休・産休は個人の事情であると同時に、組織の在り方が問われる機会でもあります。属人化せず、復帰を見越した設計を人事・現場が連携して行うことで、誰もが安心してライフイベントを迎えられる職場が実現します。
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