【引き継ぎしない心理】なぜ人は仕事を引き継がずに辞めるのか?心理的背景と対策

目次

はじめに

「前任者が引き継ぎをせずに辞めた…」 こんな状況に直面したことはありませんか?

スムーズな引き継ぎが理想ですが、実際には「引き継ぎを拒否する」「不完全なまま去る」ケースも珍しくありません。

なぜ人は引き継ぎをしないのか? そこには心理学的な要因が絡んでいます。

本記事では、引き継ぎをしない心理的背景を徹底解説し、企業が取るべき対策についても考察します。


引き継ぎをしない心理的背景

① プロスペクト理論(Prospect Theory) – 損失回避の心理

プロスペクト理論とは、人間が**「得をすることより、損をしないことを優先する」**という心理を示した理論です。 この理論に基づくと、退職者は以下のように考えます。

  • 「引き継ぎをしないことで得られるメリット」よりも、「引き継ぎをすることで発生するストレスや面倒ごと」を避ける
    → 例えば、「細かく説明するのが面倒」「引き継ぎを頑張ったのに感謝されないなら意味がない」と考える。
  • 「引き継ぎをしっかりすると、会社に余計な責任を押し付けられるかもしれない」という不安
    → 「次の人のミスを自分のせいにされたくない」「辞めた後に連絡が来るのが嫌だ」と思う。

このように、人間は得をする選択肢よりも、損をしない選択肢を優先するため、 「引き継ぎをしっかりやること」は、損失と捉えられがちです。


② 自己奉仕バイアス(Self-Serving Bias) – 自分を正当化する心理

自己奉仕バイアスとは、「良い結果は自分の能力によるもの、悪い結果は外部要因のせい」と考える心理です。

引き継ぎをしない退職者は、この心理によって次のように考えます。

  • 「引き継ぎをするのは会社の責任であって、自分の仕事ではない」
    → 「そもそも業務マニュアルがないのが悪い」 → 「こんなブラックな環境が悪い。俺は悪くない」
  • 「今までの業務は俺しかできなかったし、引き継ぎなしでも何とかなるはず」
    → 「自分がいなくても困るだろうな」と思いつつ、責任を負いたくない心理が働く。

結論:「自分が引き継ぎしないのは正当な理由がある」と自己正当化しやすい
だからこそ、「引き継ぎができていない」という指摘をされても、「いや、俺は悪くない」と反発するケースがある。


③ 認知的不協和(Cognitive Dissonance) – 矛盾を避ける心理

認知的不協和とは、**「自分の考えや行動に矛盾があると、不快に感じ、それを正当化しようとする心理」**のこと。

例えば、引き継ぎをしない人の頭の中では、次のような矛盾が生まれています。

💭「本当はちゃんと引き継ぎするべき」
💭「でも、もう辞めるし、面倒だからやりたくない」

このままだと、不快な感情(不協和)が発生するため、以下のような思考で矛盾を解消しようとします。

  • 「別に引き継ぎしなくても大丈夫だろ」
    → 「自分がいなくても会社は回るはず」と無理やり納得する。
  • 「引き継ぎがなくても、後任が勝手に何とかするだろ」
    → 責任を転嫁して、自分の行動を正当化する。

この心理によって、「引き継ぎをしないのは問題だ」と頭では分かっていても、 実際の行動としては「まあいいか」と放置してしまうのです。


④ 共有地の悲劇(Tragedy of the Commons) – 無責任の連鎖

「みんながやらないなら、自分もやらなくていい」
これは心理学における「共有地の悲劇」と呼ばれる現象です。

本来なら、誰かが責任を持って業務を引き継ぐべきですが、 「どうせ他の人も真面目にやってないし、自分も適当でいいや」と考えてしまいます。

  • 「今までの退職者もちゃんと引き継いでなかったし、自分だけやるのは損」
  • 「どうせ新しい人もすぐ辞めるから、引き継ぎしても無駄」

結果として、全員が「引き継ぎをしない」方向に流れてしまい、 組織全体でノウハウの蓄積がされず、慢性的な属人化が発生する。


企業が取るべき対策

引き継ぎをルール化する
引き継ぎを評価に組み込む
退職後も関係を維持する文化を作る
ITツールで引き継ぎを簡単にする


まとめ

「引き継ぎをしない心理」の背景には、損失回避、自己正当化、認知的不協和、無責任の連鎖 などの心理学的要因が関係しています。

人間は本能的に引き継ぎを避けたがるため、企業側はルール化や評価制度の導入、ITツールの活用などの対策を取る必要があります。

適切な環境を整え、「円満に卒業できる職場」を作ることが、長期的な企業成長につながります。

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この記事を書いた人

国立大学の経済学部を卒業後、新卒で商社に入社し人事を担当。
その後、人材企業⇛コンサルティングファームにて一貫して人事に関わる業務をする傍らHikitsugi-assistを運営しています。

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