【行動経済学で解く】なぜ人は引き継ぎをしないのか?心理的要因と対策

目次

はじめに

職場での引き継ぎは円滑な業務運営に欠かせません。しかし、実際には「引き継ぎをせずに辞める」「最低限の情報しか残さない」といったケースが後を絶ちません。これは単なる個人の怠慢ではなく、人間の心理的なバイアスや意思決定プロセスに深く関係しています。

行動経済学では、人は合理的に行動するとは限らず、感情や環境に影響を受けて意思決定をするとされています。本記事では、プロスペクト理論、現在バイアス、ナッジ理論などの視点から「なぜ人は引き継ぎをしないのか?」を解説し、企業や個人が取るべき対策を考察します。


プロスペクト理論:損失回避の心理

プロスペクト理論によると、人間は「得をすること」よりも「損をしないこと」を優先する傾向があります。これは、退職者が引き継ぎを避ける理由の一つでもあります。

引き継ぎのメリット vs. デメリット

  • メリット(得)
    • 後任者がスムーズに仕事を引き継げる
    • 退職後も良好な関係を維持できる
    • 自身の経験が組織に活かされる
  • デメリット(損失)
    • 手間がかかる
    • 「自分の価値がなくなる」と感じる(引き継ぎ=自分の仕事の重要性が減る)
    • 退職後も連絡が来るリスクがある

プロスペクト理論では、「損失」が「利益」の2倍以上の心理的インパクトを持つと言われています。そのため、引き継ぎによる「手間」や「面倒くささ」を強く感じ、放置する選択をしてしまうのです。

対策:損失回避を逆手に取る

引き継ぎをしないリスクを明確化

  • 「引き継ぎが不十分だと、後任がミスをして自分が責められる可能性がある」
  • 「後任のミスが発生すると、退職後に問い合わせが来るかもしれない」

引き継ぎをすると得をする仕組みを作る

  • 引き継ぎを適切に行った退職者に「推薦状」や「リファレンスの保証」を提供
  • 退職後もアルムナイ(OB・OGネットワーク)として関係を維持し、キャリア支援を受けられる仕組みを作る

現在バイアス:直近の楽を優先する心理

現在バイアスとは、人が「目の前の利益や快適さを優先し、将来の重要なことを後回しにする」傾向を指します。

現在バイアスが引き継ぎに与える影響

  • 「引き継ぎをすれば後々会社が助かるのは分かっているが、今の自分には関係ない」
  • 「次の職場への準備が大事だから、引き継ぎは後回しでいいや」
  • 「あとでやる」と思いながら結局やらない

対策:引き継ぎを「今すぐやるべきこと」にする

タスクを細分化して少しずつ進める

  • 「1日5分だけ引き継ぎノートを書く」
  • 「業務の重要ポイントだけを整理する」

期限を明確に設定する

  • 「引き継ぎ完了チェックリスト」を作り、退職日までに完了するようスケジュールを設定

報酬を設ける

  • 「引き継ぎを完了すると退職金が上乗せされる」などの制度を導入

ナッジ理論:引き継ぎを自然に促す仕組み

ナッジ理論とは、人々が無意識のうちに望ましい行動をとるように環境をデザインする考え方です。

引き継ぎを促すナッジの具体例

デフォルト設定を活用

  • 「引き継ぎが完了しないと退職手続きが進まない」ルールを設ける

社会的証明の活用

  • 「前任者がしっかり引き継ぎをしたおかげで、後任がスムーズに業務を開始できました」と具体例を示す

損失回避の活用

  • 「引き継ぎを怠ると、退職後にトラブルが発生し、最悪の場合法的責任を問われる可能性がある」

簡単にできる選択肢を用意

  • Hikitsugi Assistのようなツールを活用し、ワンクリックで業務マニュアルが作成できるようにする

まとめ

行動経済学の視点から見ると、人が引き継ぎをしない理由には以下の心理的要因が関係しています。

  1. プロスペクト理論:「引き継ぎの手間」という損失を避けるために後回しにする
  2. 現在バイアス:「今の楽さ」を優先し、引き継ぎを後回しにする
  3. ナッジ理論:「引き継ぎをするのが当たり前」という仕組みがないと人は動かない

企業側はこれらの心理を理解し、適切な仕組みを導入することでスムーズな引き継ぎを促進できます。

ツールを活用し、 「手間なく、簡単に引き継ぎができる仕組み」を作ることで、社員の心理的負担を減らすことが可能です。

引き継ぎの問題を行動経済学的アプローチで解決し、円滑な業務継承を実現していきましょう!

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この記事を書いた人

国立大学の経済学部を卒業後、新卒で商社に入社し人事を担当。
その後、人材企業⇛コンサルティングファームにて一貫して人事に関わる業務をする傍らHikitsugi-assistを運営しています。

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