ストレスチェックでは測れない“静かな退職”。低ストレスでも辞める社員をどう救うか

目次

はじめに

企業が毎年実施するストレスチェックは、従業員のメンタル不調の早期発見に役立つ制度として定着しています。しかし、実際には「高ストレス判定ではない人」が静かに退職していくケースが増えています。いわゆるサイレント退職(Quiet Resignation)です。

このタイプの離職は、ストレスが限界に達して爆発するのではなく、仕事や職場への期待値が少しずつ低下し、感情がフラットになった状態で起こります。特に会社の人への相談を避ける傾向のあるZ世代では、その兆候を周囲が気づきにくいため、企業側が突然の退職として受け止めてしまいがちです。

本記事では、ストレスチェックでは拾えない退職予備軍の特徴と、企業がどのように兆候を発見し、離職を防ぐべきかについて解説します。

ストレスチェックでは非高ストレス者でも辞める理由

期待値が下がるとストレスそのものが減る

ストレスチェックは「ストレスを感じているか」に焦点を当てています。しかし、静かな退職に向かう従業員は、そもそも会社への期待値が下がっているために、ストレスすら感じなくなっています。心理学では学習性無力感に近い状態で、問題を訴えることや改善しようとする気力が低下し、感情の起伏が少なくなっていきます。

不満より諦めが先に来ている

ストレスが高い社員は、怒りや不満を表出するため、比較的気づきやすい存在です。一方、静かに退職していく従業員は、不満を発散せず抱え込み、諦めの境地に達していることが多いため、ストレスチェックでは表面化しません。
最もやっかいですが、最もおおいパターンです。

Z世代は「相談しない」傾向が強い

Z世代は弱みを見せることに抵抗があり、「迷惑をかけたくない」という意識が強い世代です。そのため、問題を抱えても相談せず、自分の中で完結しようとする傾向があります。上司が「いつでも相談して」と声をかけても、本音は出てこず、気づかないうちに退職の意思を固めている場合があります。

静かに退職していく従業員の特徴(秋ごろから兆候が出る)

コミュニケーションの温度感が下がる

SlackやTeamsでの返信が遅くなる、スタンプだけで済ませる、文章が極端に短くなるなど、微妙な変化が現れます。エンゲージメントが低下すると、業務への感情投資が減少し、必要最低限のコミュニケーションに収束していきます。
「!」が減ったりtimelineへの投稿頻度が減ったら要注意です

1on1が抽象的な話に終始する

「特に問題ないです」「まあ大丈夫です」といった表面的な回答が増えるのが大きなサインです。具体的な相談を避けるのは、すでに会社への期待値が低下している可能性が高いです。

キャリアや成長の話に以前ほど反応しなくなる

通常、Z世代はキャリアや成長機会に敏感です。
その話題に温度感がなくなるのは、未来を会社に期待していない兆候です。

会議や社内イベントへの参加率が低下

オンライン会議でのカメラOFFや発言減少、社内イベントへの不参加は、組織への心理的距離が広がっているサインです。

ストレスチェックでは拾えない退職予備軍を救う方法

「ストレス」ではなく「エンゲージメント」を測る

ストレスは低くても、エンゲージメントが低い状態は危険です。月1回の簡易パルスサーベイ(3問程度)で、温度感の変化を定点観測することが効果的です。

マネージャーに兆候の型を共有する

退職予備軍は必ずしも声を上げません。そのため、兆候を観察するマネージャー側のスキルが重要です。

  • 返信の早さ・量の変化
  • 1on1での具体性の低下
  • 参加率・表情変化 など、型として持っておくことで抜け漏れがなくなります。

1on1の質問を構造化する

「最近どう?」という抽象的な問いでは、本音は出てきません。Z世代は特にそうです。

  • 今週の成功体験
  • 困っていること(人・仕事・スキルで区分)
  • 今後30日で改善したいこと など、具体的に切り出すことで、表面的な回答を防ぐことができます。

サイレント退職を防ぐコミュニケーション設計

傾聴 → 承認 → 透明化 の3ステップ

Z世代の安心感を作るコミュニケーションは、この三つのステップで成立します。

  1. 傾聴:遮らず聞く
  2. 承認:感情・事実の承認
  3. 透明化:会社の状況や評価基準を明確に伝える これらが揃うと、心理的安全性が高まり、退職リスクが大きく下がります。

管理職のコミュニケーションの個人差をなくす

マネージャーごとのスキル差が、退職リスクの差につながります。質問テンプレ・1on1スクリプト・業務共有のフォーマットを統一することで、属人化を防ぎ、組織全体の品質を底上げできます。

退職につながる“見えないストレス”をなくす

属人化はZ世代にとって大きなストレス

「前任者しか知らない仕事」「属人的でブラックボックス化した業務」は、Z世代が最も嫌う環境のひとつです。ストレスチェックでは測れませんが、これが退職の主要因になることは多いです。
昭和世代が自分の仕事を守りたがるのとは真逆で、透明化されていないことがZ世代にはストレスになるのです。

Hikitsugi Assistによる業務の透明化

Hikitsugi Assistを活用すれば、日次タスク、フロー、ナレッジを統一された形で共有できます。これにより、Z世代が感じやすい“見えないストレス”を大幅に削減し、安心して働ける土台を作れます。

早期発見のためのチェックリスト

  • 返信速度が落ちている
  • スタンプのみが増えた
  • 1on1が抽象的
  • 会議での発言が減った
  • キャリアの話題に乗ってこない
  • 怒りも愚痴もなく「無関心」になっている

おわりに

ストレスチェックは重要な仕組みですが、それだけでは“静かに退職していく従業員”の兆候を掴むことはできません。大切なのは、日々の温度感の変化に気づくこと、エンゲージメントを継続的に測ること、そして業務の見える化を徹底することです。

離職を減らすカギは、従業員の「声にならないサイン」を拾える仕組みづくりにあります。Hikitsugi Assistを活用しながら、安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。

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この記事を書いた人

国立大学の経済学部を卒業後、新卒で商社に入社し人事を担当。
その後、人材企業⇛コンサルティングファームにて一貫して人事に関わる業務をする傍らHikitsugi-assistを運営しています。

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