「ちゃんと説明したのに、なぜ質問してこないんだ?」 「少し注意しただけなのに、翌日から元気がなくなった…」
Z世代の新卒や若手と接する中で、そんな違和感を覚えたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、昭和・平成世代にとって“普通”だった指導や注意が、Z世代には「怖い」「怒られている」「責められている」と受け取られることが珍しくありません。
この記事では、Z世代がなぜ質問しづらいのか、そして引継ぎやOJTの場面で起きがちなコミュニケーションのズレを防ぐために、昭和世代が取り入れたい3つの視点を紹介します。
Z世代はなぜ質問しないのか?
まず大前提として、**Z世代が質問をしない=やる気がない、とは限りません。**むしろ「怒られるのが怖い」「質問で迷惑をかけたくない」という“気遣い”が先に立って、口をつぐんでしまうことも多いのです。
■ 質問=評価対象という意識
Z世代は「正解に近づきたい」「失敗したくない」という想いが強いため、質問することで「できない人」と思われることを恐れます。
■ オープンな質問文化に慣れていない
LINEやDMなど非同期のやり取りが主流だったZ世代は、リアルタイムで「分からない」と声を上げる経験が少なく、「その場で聞く」ことに強い緊張を覚えます。
■ 叱責に過敏なメンタル傾向
「怒られる=人格を否定される」と感じてしまうケースも。フィードバックを受け取る経験が少ないまま社会に出たため、“少し強い言葉”でも精神的なダメージが大きくなることがあります。

昭和・平成世代がやりがちな「ズレた伝え方」
● 一方的に“叱る”
「前にも言ったよね?」 「これぐらい自分で考えようよ」
昭和世代にとっては軽い注意でも、Z世代は「怒られた」「見捨てられた」と感じやすく、結果的に沈黙・萎縮・離職リスクへとつながることも。
● 曖昧な言葉・感覚的な表現
「それっぽくやって」 「上手く調整して」
Z世代は「何をすれば正解か」が分からないと動けません。「“それ”って何?」「“上手く”ってどういうこと?」と、内心では混乱しています。
● 教える前提が“昔の自分”
「俺の時代は教えてもらえなかった」 「背中を見て覚えろ」
今の時代は違います。“当時の自分基準”での指導は、Z世代にとっては「突き放された」と感じさせてしまいます。

昭和世代が取り入れたい3つのヒント
1. 「責めずに寄り添う」言葉の使い方
Z世代は、自分の意図や過程を聞いてもらえると安心します。
- 「どうしてそうしたか、聞かせてくれる?」
- 「ここちょっと迷うところだったかもね」
ミスを責めるのではなく、“一緒に解決する”スタンスが信頼を育みます。
2. 「質問しやすい空気」を意識的につくる
Z世代は「聞いてもいいんだ」という許可がないと質問しづらい世代です。
- 「ここは前も新人が悩んでたから、分からなければ気軽に聞いて」
- 「私も最初はミスばっかりだったよ」
「聞いても大丈夫」な雰囲気は、積極的な質問と自律性を引き出します。
3. 「正解」ではなく「納得」を重視する
Z世代は、「正解を与えられること」よりも、「納得できる説明」を求める傾向があります。
- 「これはこういう背景があるから、こう判断してる」
- 「目的がこれだから、こういうやり方にしてる」
プロセスを丁寧に共有することで、「なるほど、自分も考えてみよう」という姿勢が育ちます。
注意が“パワハラ”になる前に:伝え方のアップデートを
Z世代と関わる中で、無意識のうちに「強く言いすぎた」「つい昔の感覚で怒ってしまった」と感じる場面があるかもしれません。
でも、それは悪意ではなく、“伝え方の時代差”によるすれ違いです。
引継ぎの場面こそ、「伝える力」と「受け取る力」のバランスが問われる瞬間。 昭和世代が少し視点を変えるだけで、Z世代の成長スピードは驚くほど変わります。

まとめ:Z世代に伝える前に、まず“自分の言葉”を見直そう
Z世代の沈黙や受け身は、「何も考えていない」のではなく、「どう言っていいか分からない」「怖くて動けない」ことが原因かもしれません。
質問してこないのも、やる気がないわけじゃない。 叱ったつもりでも、傷つけてしまうこともある。
だからこそ、昭和・平成世代の私たちが「どう伝えるか」「どう聞くか」をアップデートしていくことが大切です。
Z世代の理解力と柔軟性は、決して低くありません。
むしろ、伝え方次第で一気に花開く世代です。
その最初の一歩は、“責める”のではなく“寄り添う”。
引継ぎは、未来の仲間を育てるための、大切な対話です。
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