新卒が秋冬に辞めたくなる理由と防ぎ方|現場ができるマネジメントと引き継ぎ準備とは?

目次

はじめに

「4月に入社した新卒社員が、秋頃から急に辞めたがるようになってきた」
「11月〜12月にかけて退職の相談が増える」
こうした声を、マネージャーや人事担当者からよく聞きます。

せっかく手間をかけて採用し、育成をしてきたはずの新卒が入社から半年〜9か月で「辞めたい」と言い出すのは、企業にとってもチームにとっても、精神的にも実務的にも大きなインパクトをもたらします。

本記事では、新卒社員が秋〜冬に退職したくなる心理的・構造的な背景を整理し、そのうえで現場のマネージャーや人事が取るべき具体的な対応策、そして引き継ぎという観点から見た「事前の備え」についても触れていきます。

ゴールデンウイークだけではなく、秋冬の新卒社員の退職が発生しないようしっかりケアしましょう。


なぜ新卒は秋〜冬に辞めたくなるのか?

仕事の全体像が見えはじめ、理想と現実のギャップに直面する

入社当初は、仕事に対する期待感や新しい環境への高揚感もあり、ある程度の無理や違和感を飲み込みながら頑張れるものです。

しかし、半年が過ぎる頃になると、業務にも人間関係にも慣れてくる一方で、「自分の仕事の将来性」「職場の雰囲気」「成長の実感」など、長期的な視点で“本当にここで働き続けられるのか”を考え始めるタイミングがやってきます。

そのとき、理想と現実のギャップが大きいと、「頑張っても報われない」「ずっとここで働くのはしんどい」といった思考に陥りやすくなります。

とくにZ世代を含む最近の若者は比較的環境を変える傾向にあるため注意が必要です。

孤独感・比較による自己否定が強くなる

秋〜冬は、周囲の動きも活発になります。
同期や大学の友人が転職活動を始めたり、キャリア系SNSで「ベンチャー転職」「副業開始」などの情報を目にしたりすることで、「自分はこのままでいいのか?」という不安や焦りが強くなります。SNSが発展している現代では比べなくていい他者と自分を比べることもできてしまうため、不安や焦りの傾向は昔より強い状況にあります。

特に、リモート環境や非対面コミュニケーションが多い職場では、相談できる人がいない孤独感が加速しやすいことも、新卒離職の引き金になりがちです。

ボーナス・年末という“キリの良いタイミング”

冬の賞与支給後に退職を申し出る新卒社員も少なくありません。
「年内で一区切りつけたい」
「キリよく1年未満で次に進みたい」
という心理から、実質の退職意志は秋の段階で固まっていることが多いです。


新卒の離職を防ぐために、マネジメントが取るべき5つの対応

入社後半年〜9か月での定期ヒアリングを仕組み化する

1on1や定期面談を「月1」で行っている組織は多いですが、入社半年〜9か月というフェーズは、特に密度の高いフォローが必要です。

「辞めたい」と言い出す前に、「違和感がある」「しんどい」と思っている段階でキャッチアップすることが重要です。そのためにも、「最近どんなことにモヤモヤしてる?」というフラットな問いを定期的に投げかけましょう。

早期離職防止サービスなども存在しますので、積極的に活用検討してみてくださいね。

https://www.chr.co.jp/retention/

雑務や単調業務ばかりになっていないか、業務内容を見直す

新卒社員が「仕事が面白くない」と感じる要因は、与えられている業務が単調な処理作業に偏っていることです。

もちろん、基礎的な仕事を覚える期間は必要です。
しかし、半年以上経っても「考える仕事」「自分で判断する場面」がまったくないと、やりがいを見出せず、将来への希望も持ちにくくなります。

定型作業ばかり任せていないか?
「誰でもできる仕事」と思わせていないか?
定期的にアサイン業務を棚卸しして、成長を実感できるポイントを積極的に用意することが、離職防止につながります。

目標設定と期中の振り返りの際に本人の希望を聞いてあげることで、会社への信頼感を高めることもできます。

評価の透明性を上げる

「何を頑張れば評価されるのかがわからない」これは、新卒社員にとって非常に不安を生む状態です。

特に秋〜冬は評価タイミングとも重なり、自分の成果がどう見られているのかフィードバックがどう行われるのかに敏感になります。

評価制度の構造が難しい場合でも、上司や人事から「こういう点を見ているよ」「ここが良かったよ」と明示的に伝えるだけで、安心感が全く変わってきます。

新卒社員については定量評価で差をつけることが難しいため、日々の行動についての定性評価をきちっと言葉で返してあげましょう。今どきの若者にははっきり言わないと伝わりません。背中で感じることはもう時代遅れになってしまっています。

チームへの役割の可視化を進める。貢献を見える化する

新卒社員が「自分がいなくてもいいんじゃないか」と感じてしまうのは、チームの中での役割が見えづらいときです。

「あなたがこの役割を担ってくれてるから助かってる」
「この仕事、任せてみたいと思ってる」
といった声がけは、役割意識と自己肯定感を同時に満たす効果があります。

その上で、チーム内の業務フローや役割分担をドキュメント化することで、属人化を防ぎつつ、新卒の**“自分のポジション”の自覚**を育てていくことができます。

万が一辞めても慌てない引き継ぎ設計を平時から行っておく

どれだけフォローしていても、退職を完全に防ぐことはできません。
だからこそ、引き継ぎの仕組みを事前に整えておくことがマネジメントとして重要です。

新卒が辞める場合、引き継ぐべき情報は少ないように見えても、実際には「毎日やっていた細かい定型業務」「得意先との関係性」「社内システムのクセ」など、本人しか知らない暗黙知が山ほどあります。

これらを引き出し、ドキュメント化し次のメンバーにスムーズに渡せる体制があれば、退職が発生してもチーム全体のダメージは最小限で済みます。


まとめ|“辞めない仕組み”と“辞めても止まらない仕組み”の両立を

秋〜冬の新卒離職は、突発的なように見えて、じつは日々の不満や不安が蓄積された結果として表面化しているものです。

マネジメントとしては、「辞めさせないためのケア」と同時に、「辞めても業務が止まらない仕組み=引き継ぎ設計」を平時から整えておくことが、本当の意味での持続可能なチーム運営につながります。

辞める・辞めないの一点で一喜一憂せず、日々の業務の中で「役割」「期待」「引き継ぎ」を丁寧に整えていくこと。
それが、新卒社員の定着にも、組織としての安定にも、間違いなく効いてきます

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この記事を書いた人

国立大学の経済学部を卒業後、新卒で商社に入社し人事を担当。
その後、人材企業⇛コンサルティングファームにて一貫して人事に関わる業務をする傍らHikitsugi-assistを運営しています。

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