「自分たちの頃は、先輩の背中を見て覚えたものだ」
そんな言葉が通じにくくなった今の時代。昭和世代のベテラン社員が感じる“もどかしさ”や“通じなさ”は、現場の引継ぎの場面でとくに顕著です。
「新人に言ったのに伝わっていない」「ちょっと注意しただけなのに落ち込んだ」「すぐに聞いてこない」
こうした感覚のズレは、単に世代の違いだけで片付けられない“働き方のアップデート”を求められているサインかもしれません。
この記事では、昭和世代の皆さんが「今どきの新人とうまくやっていくための引継ぎスタイル」を見直すヒントを紹介します。
昭和世代とZ世代の「常識」はこんなに違う
■ 昭和世代の特徴
- 現場主義・経験重視
- 叱られて育つ文化
- 見て覚える、盗んで学ぶスタイル
- 長時間労働や根性論も当たり前

■ Z世代(1997年以降生まれ)の特徴
- デジタルネイティブ(スマホ・SNSが当たり前)
- ミスや怒られることへの耐性が低い
- 効率・合理性を重視
- 共感・心理的安全性を求める
- 指示は明確でないと動きづらい
昭和世代にとっての「当たり前」は、Z世代にはまったく通じないこともあるのです。
なぜ引継ぎが通じなくなっているのか?
● 情報の伝え方が曖昧すぎる
「適当に頼むわ」「いつもの感じでやっておいて」
このような曖昧な指示は、Z世代にとっては“何をすればいいか分からない”状態を生みます。
「昔は言わなくても察するもんだった」は、いまや通用しません。
● 注意の仕方が古いと感じられる
「なんでそんなこともできないんだ」「前も言ったよな?」
こうした言い方は、Z世代には人格否定と捉えられかねません。
「あなたのことを責めているのではなく、やり方を見直そう」という“分離した伝え方”が求められます。
● 学びのスタイルが違う
昭和世代は「まずやってみて、失敗から学ぶ」ことが自然でしたが、Z世代は「まず理解してから動く」スタイルを好みます。
引継ぎの場面では、「流れだけ伝える」ではなく「なぜそうするのか」「どう考えて判断すべきか」まで説明することが重要になります。
昭和世代が取り入れたい、現代型の引継ぎスタイル
1. 「背景」と「目的」をセットで伝える
例:
- ✕「このファイルを毎週更新して」
- ◎「このファイルは営業会議で使われる資料で、更新ミスがあると会議が混乱します。だから毎週チェックして更新してね」
背景がわかると、Z世代は納得しやすくなり、責任感も生まれます。
2. ドキュメントやツールを活用する
「口頭で済ませる」はもう時代遅れ。Slack、Notion、Googleドキュメントなどを使って情報を残すことが前提です。
新人はあとから振り返ることで理解を深めていきます。「一度言ったから終わり」ではなく、「記録を残す・共有する」が現代型の引継ぎです。
3. 叱るより“対話”を重視する
間違ったときに「何が原因だったか」を一緒に振り返る姿勢が大切です。
- 「どうしてそうしたか、教えてもらえる?」
- 「何か分かりにくいところがあったかもしれないね」
Z世代にとって、“責められない安心感”が成長の前提になります。
4. 一方的ではなく“育て合い”の意識を持つ
Z世代は、昭和世代にとって未知の存在ですが、彼らの考え方・価値観には、現代に必要な知恵もたくさん含まれています。
「教える」というより、「お互いに育ち合う」感覚を持つことで、信頼関係が深まり、より良い職場が生まれます。
昭和世代が“育てられる”時代に
昭和世代の皆さんが培ってきた経験や知見は、もちろん今でも貴重です。ただ、それを「昔はこうだった」と押し付けるのではなく、今の若手に合わせて“翻訳”する姿勢が求められています。
実は、Z世代の反応や行動を通して、昭和世代自身が「もっと伝え方を工夫しよう」「相手の立場で考えよう」といった成長の機会を得られているのです。
つまり、今どきの新人に“育てられている”のは、私たちベテラン側かもしれない。
Z世代は、きっとあなたの「教え方」をアップデートしてくれる存在です。
まとめ:引継ぎは、世代を超えて“進化する”もの
これからの引継ぎに必要なのは、「昔のやり方」へのこだわりではなく、「今の相手」に寄り添う柔軟さです。
昭和世代だからこそできる、“経験×共感”の引継ぎ。
それはZ世代にとっても、あなた自身にとっても、きっと価値ある学びになるはずです。
「育てる」だけでなく、「育てられる」覚悟を持って、次の世代と一緒に歩んでいきましょう。
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