「このやり方、もう誰もやってないよね…?」
そんな声が漏れることもある、昭和世代の引継ぎ常識。 かつては当たり前だったスタイルも、令和の職場では「時代遅れ」と言われてしまうことがあります。
この記事では、昭和の職場で当たり前だった“引継ぎの常識”を振り返りながら、現代の働き方とのギャップを読み解きます。「懐かしい!」と思う方にも、「そんな時代があったの!?」と驚く方にも楽しめる、“働き方の歴史ドキュメント”としてお届けします。

昭和時代の引継ぎスタイルとは
「見て覚える」が基本
昭和の引継ぎにおいて、もっとも象徴的なのがこのスタイル。
「マニュアル?そんなもんないよ。先輩のやり方を見て覚えるもんだ」
手順があっても、それが文書化されていることは稀でした。 口伝え、現場での観察、そして失敗しながら覚えることが“育成”とされていました。
マニュアルより“手帳”と“ノート”
デジタルツールのない時代、引継ぎで渡されるのは手書きのノートや手帳。
- 独自の略語や記号が多く、本人以外には解読困難
- ファイルは紙の束、資料はバインダー管理
- 書類の保管場所も「だいたいあの棚の上」といったあいまいな指示
こうしたスタイルは、属人化の温床でもありました。
精神論が支配する「引継ぎ責任」
昭和の職場では、「引継ぎとは、自分の仕事に責任を持つ証」でもありました。
- 「後任が困らないように、寝る間も惜しんで引継ぎをする」
- 「迷惑をかけるな」「引継ぎも仕事のうち」
責任感という意味では美徳ですが、個人への負担が重すぎる側面もありました。
口頭説明・メモ書き・コピー資料が命
パソコンやクラウドがなかった昭和時代、情報は「口頭で伝える」「メモを渡す」「紙資料をコピーして引き継ぐ」が基本。
- 資料の最新版が分からない
- 引継ぎ漏れは「気づけなかった方が悪い」
- 「阿吽の呼吸」で補完される非言語の伝達
これらは現代の「情報共有」「透明性」重視の文化とは大きく異なります。

なぜ文化遺産になったのか?
昭和的な引継ぎスタイルが淘汰されつつあるのには、以下のような背景があります。
デジタル化・クラウド化の進展
NotionやGoogle Workspace、Slackなどのツールが普及し、「情報は書いてあるもの」「探せば出てくるもの」になりました。
物理的なノートではなく、「誰でも、どこでも、同時にアクセスできる情報管理」が主流となっています。
働き方改革と属人化リスクの可視化
長時間労働・根性論に依存しない働き方が推進されるなかで、「誰がやっても同じ成果が出せる業務設計」が求められるようになりました。
引継ぎを属人化させることは、企業にとってのリスクと認識されつつあります。
世代交代と価値観の変化
Z世代・ミレニアル世代が増えるにつれ、心理的安全性や共感、合理性が重視されるようになりました。
「感覚で引き継ぐ」「察して動く」といった昭和的な価値観は、通じにくくなっています。
それでも残る“昭和の良さ”とは?
とはいえ、すべてが否定されるべきではありません。
- 「仕事を自分ごととして引き継ぐ」責任感
- 失敗しながらでも成長を見守る文化
- 後輩に対する“情のあるフォロー”
こうした姿勢は、今の時代にも必要なもの。
むしろ、デジタル化が進んだ今だからこそ、「人間らしい引継ぎ」や「気遣いのある説明」はより価値を持つのかもしれません。
まとめ:過去を知れば、今が見える
昭和の引継ぎスタイルは、確かに時代遅れかもしれません。 でも、それは「無駄なやり方」だったのではなく、その時代の最善策だったということです。
そして今、私たちが新しい引継ぎのスタイルを模索するうえで、昭和の遺産から学べることはたくさんあります。
過去を振り返り、今を見つめ、未来の働き方へとつないでいく。
引継ぎもまた、進化する文化なのです。
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